木工専攻
卒業生の進路

花井 雄規

「建築と木工を学んだ強みを生かす」建具・キッチン職人

hanai_honnin

プロフィール

(株)Wood Works SORA 勤務
(本社:岐阜県中津川市加子母)

名古屋市立大学芸術工学部都市環境デザイン学科にて建築を学んだあと、森林文化アカデミーに入学し、木工を軸に森や木に関わるさまざまなことを学ぶ。卒業後は木製の建具やキッチン、家具を製作する工房へ就職し、職人としての道を歩む。


hanai_tobira質問1)今の仕事内容を教えてください。

木製の扉などの建具やオーダーメイドのキッチン、家具の制作をしています。平日は工場で制作をしていますが、納品の際は、現場(住宅)へ行き設置作業を行います。
これまでは、一つの案件について、すべてを任されることはありませんでしたが、入社して1年2か月たち(2015年6月現在)、初めて最初から最後まで(木取り作業から納品まで)通して担当させてもらっています。

質問2)一日の仕事の流れは?

基本、就業時間は8時~17時です。しかし、愛知県春日井市にショールームをオープンさせたことも影響し、今年は仕事量が多いため、会社内で協議し7時半~18時半(残業2時間)としています。
始業前は、工房内の掃除をするため15分ほど前に来ます。作業時間が終了した後は、残って図面を描いたりすることもあります。

hanai_zumen質問3)休日はどんなことをしてますか?

週末は必要に応じて制作図面の作成をしています。これは、社長が全体の図面を描くのですが、それをもとに制作のために必要な図面に落とし込む必要があります。入社前から、制作以外にもできることを増やしたい、と社長と話をしていたこともあり、この制作図面をやらせてもらっています。

質問4)今の仕事できついなーとか、これはやりがいがあったというのは?

自分の技術、知識が足りないために作業に支障が出るときが一番きついです。特に、ノミやカンナなどの手工具の技術や「アテ」といわれる部位や「シミ」「カビ」などの欠点を見分ける目利きなど、まだまだ未熟な部分が多いです。

さらに普通の椅子やテーブルなどの置き家具と違い、建具やキッチンは建物に取り付けられるものです。そのため、いくらものとしてきれいに完成しても、建物の壁が垂直でなかったり、寸法通りの隙間でなかったりすることもあり、現場での調整が必ず必要になります。その際、どの部分をどれくらい削ればよいのかというのが感覚的にまだわからないので、これから経験を積んでいきたいと思います。

そのような苦労はあるのですが、やはり自分の手で苦労して完成させた製品を、実際のお宅に納品した時にはやりがいを感じます。とくに、既製品ではなく、オーダーキッチンのため、お客さんは木が好きで木のキッチンを望んでいる人たちです。そういった人たちに希望されるキッチンを制作し届けられるというところにやりがいを感じます。

hanai_sagyo質問5)アカデミーに入ったきっかけは?

大学時代は建築を学んでいました。その大学では、身近なところでプロダクトデザインをやっている学生がいるなど、建築以外の人たちも多くいたため、いろんな人と関われるところでした。何かに特化したつながりではなく幅広いつながりをもつことのよさにそこで気づいたのかもしれません。
当時、建築以外にも家具に興味があり、研究室の先輩が森林文化アカデミーに通っていたことでアカデミーのことを知り、オープンキャンパスに行ってみることにしました。
そこで、建築や木工だけでなく、林業や山村地域の活性化、環境教育など山に近い分野もあることで、幅広い人たちとつながり、多様な経験ができそうなところに惹かれ、アカデミーに進学することに決めました。

hanai_kamachi質問6)アカデミーで得た学びは?

今の仕事で役立っていることとしては、材料についてしっかり学べたことです(材料学)。制作現場では、見た目 や性質などの違いは経験で学ぶことはできますが、どのような条件で、材料の伸縮や反りなどの現象が起こるのか、科学的に学べたので、それを踏まえて制作に あたることができます。
また、1年生の冒頭にある「森林から木材、暮らしへ」という授業では、林業などの山側の分野から建築・木工の使い手の分野までざっと学ぶことができ、全体の流れや仕組みを学ぶことができたのは良かったです。

質問7)専門分野以外での学びは?

単にものを作るという技術だけでなく、森林に関わるさまざまなことを学べました。他の分野の学生や教員からその分野の話を聞いたり、逆に木を使う側のことも知ってもらうこともでき、それぞれに興味を持ちあうことができたのはとても良い経験になっています。
これは、少人数で、でも熱い人たちが多くいたからこそ、授業以外でも意見を日常的に交わすことができたんだと思います。いまでも同級生の中には、仕事でもつながりを保っている人もいます。
また、社会に出てしまうとなかなか聞けなくなってしまう他分野のことについて、それぞれの専門の教員がいるアカデミーでは、気軽に聞くことができます。知 識の幅を広げるのにとてもよい環境だと思います。先日も、川尻先生に「アテ」について、相談にいきましたよ。こうやって、気軽に専門の人に聞きに行ける関係が築けるのもアカデミーのいいところですね。

質問8)アカデミー入学前のバックグラウンドが活かされていることは有りますか?

現在の仕事で制作している建具やキッチンは住宅などの建築に付随するものであり、大学で建築を多少なりとも学んでいたことで理解しやすいという点は生きていると感じます。たとえば、建築の図面が読めるので、そこに適したものを提案することもできます。建築を設計する人たちは家具や建具がどうやってつくられるのか知らないこともあり、ありえないものを 設計したりすることもあります。建築や木工単体ではなく、両方しっているからこそ空間全体を見ることができます。また、両方をしっていると、話のネタにも なり、人とつながるためのツールにもなります。建築のバックグラウンドがあり、家具などの作り方を知っている、納め方をしているというのは強みになります。

hanai_SORA質問9)今の仕事のモットー、これからの若者へのメッセージ

今は、現場で職人としての力を磨いています。ちゃんと作れるように頑張りた いと思います。アカデミーはいろんな分野へ入っていきやすい場所です。僕はものづくり講座で木工を学んだけれど、他の分野のことも広く学ぶことができまし た。作る技術は就職後に現場で身に付けることはできますが、他の分野のことについて学ぶことは社会に出たらなかなかできません。ですので、アカデミーでは視野を狭めず、興味あることを幅広く学んだほうがいいと思います。

hanai_shachoto主査からのコメント

在学中は、柔らかすぎて椅子には向かないとされる針葉樹のヒノキを、構造を工夫してJIS規格並みの強度を持たせる研究に取り組みました。
花井さんは大学卒業後すぐにアカデミーに来た若手ながらずいぶん落ち着いた印象がありましたが、課題研究でも落ち着いていくつもの椅子の試作に取り組み、最後はみごと目標を達成させました。社会に出てからも、花井さんらしい視点と内に秘めた情熱が、仕事に活きると信じています。


連絡先
株式会社 wood works SORA http://soraue.life.coocan.jp/

本社:

〒508-0421 岐阜県中津川市加子母 3089-2
Tel (0573)67-9005 / Fax (0573)79-2529
春日井ショールーム:
〒486-0849 愛知県春日井市八田町2-27-20
Tel (0568)29-7413 / Fax (0568)29-7414 
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