木工専攻
卒業生の進路

入江 鐵夫

行灯職人であり、木育指導員。「作る」と「伝える」をバランス良く実践

 

プロフィール

1943年生まれ。「行灯工房」代表。 元(株)竹中工務店名古屋支店工務部長。岐阜県立森林文化アカデミー森と木のクリエーター科木工専攻で、伝統的な飛騨の木工技術を学ぶ傍ら、京指物師馬渕弘美氏の指導を仰ぐ。2006年4月可児市に卒業と同時に「行灯工房」を開設し、代表となる。工芸都市高岡2007クラフトコンぺ入選。2008~2017岐阜市美術展入賞他。 ぎふ木育推進員。CONEリーダー。


質問1)今の仕事内容を教えてください。

京指物の行灯を制作する傍ら、岐阜県のぎふ木育推進員として県下の小学校及び幼稚園・保育園等の木育教室の講師と教材制作を行っています。

工房では、長良スギと手漉きの美濃和紙を使い、三方留め等の京指物の技術で行灯を制作しています。日本の伝統的な行灯(室町~江戸時代)を基にして、現代の生活に合ったLED、センサー等を採用したあかりを制作しています。また、森林と人との共生をテーマに、行灯の腰板にミズナラ、ウリハダカエデ等の樹木の葉を透かし彫りする等を行っています。

木育教室は、岐阜県の「ぎふ木育30年ビジョン」に基づき、岐阜県の豊かな自然を子ども達に伝えるためのもので、木の楽器、食の道具、積み木等の教材はすべて岐阜県産で制作しています。

質問2)今の仕事のなかで大変だとと思うことと、やりがいを感じることを教えてください。

京指物の仕事は、昇降盤等の木工機械と共に、鉋、鑿等の手工具が不可欠です。使用する刃物をうまく研げなければ道具を使いこなすことはできません。中でも「鉋の研ぎ」は、最低7~10年かかると言われています。作品はすべて木地仕上げ(塗装を施さない)ですので、鉋の研ぎが作品のよさを左右します。どの作品でも同じように仕上げ鉋をかけることは容易ではありません。「刃先に曇りひとつないように研ぐ」、今もこの点がキーワードです。やりがいに感じることは、つくった作品が顧客から喜んで頂ける時です。

 

質問3)今の仕事を通して社会にどんな貢献をしていると感じますか?

「環境にやさしい木、自然のうつくしい木を、日常生活の中で身近に感じること」を伝えることです。行灯は木・紙・あかりの構成で、人の心を癒します。また、木育は樹と木にふれあうことを通じて、子ども達に生きる力を育みます。この2点を通してさらに社会貢献できればと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

質問4)森林文化アカデミーに入ったきっかけは?

2つあります。1つは、何十年間も組織の中で仕事をしてきましたので、第2の人生は居職をしたいと考えていたこと。今1つは京指物の仕事に興味があったことです。BCS賞を受賞した木造の建物で学べることも入学の動機です。

 

質問5)アカデミーで得た学びは何ですか?

座学ではなく、実践で学ぶということです。特に2年次の森林たくみ塾でのインターンシップと、日本伝統工芸会正会員、京指物師馬渕弘美氏のもとでの対外実習が印象に残っています。氏からはその後10年に亘り、ものづくりの基本、道具の使い方、作品に対する美意識等について、懇切にご指導頂くことができました。定年後入学した私にとって、アカデミー卒業も繋がる学びの場との出会いは大きな財産です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

質問6)専門分野以外の授業やプロジェクトで、役に立ったものはありますか?

木工の専門知識と共に、ものの考え方です。環境教育で学んだ、「見たり、聞いたりしたことは忘れる、体験したことは忘れない、発見したことは身に着く」の言葉です。テレビ、新聞等を通して、便利さを求めて容易に情報が得られる中で、自分を見つめ直すよい機会となりました。

 

質問7)今の仕事をしていく上でのモットー、若い人へのメッセージは?

「年を重ねたからこそできる仕事がある。」です。常に技術を磨き、新しいデザインを創出し、想いを形にしていきたいと考えています。後輩の皆さん、かけがえのない人生、どうか悔いの残らない日々をお過ごしになるよう、お祈り申し上げます。


連絡先 行灯工房 http://www.ctk.ne.jp/~tetsuo-i/ 

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