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2023年05月09日(火)

東海丘陵要素植物群の自生地を見学してきました

クリーエーター科2年の授業「里山の自然とその保全」では,岐阜県や周辺地域の貴重な里山の自然を見学したり,保全活動を体験します。今回の授業では,東海丘陵要素植物群の自生地を見て,どのような保全がなされているのかについて学びました。

ヒトツバタゴ自生地

花盛りのヒトツバタゴ自生地です。ここは約100年前に天然記念物に指定された自生地です。一般的に天然記念物指定されると,そのまま手を触れないまま維持されることが多いのですが,この自生地では,環境を調査したり,残存木の樹勢の回復をはかったり,更新を手助けしたりと積極的な手入れがなされています。天然記念物に手入れをするというのは,実は大変なことで,現状変更というプロセスが必要になります。手間をかけて手入れをしたおかげで,この自生地では後継樹が着実に育ちつつあります。

ミカワバイケイソウ自生地

こちらはミカワバイケイソウの自生地です。こちらは個人所有地なのですが,所有者や仲間たちが,植物に詳しい人ばかりで,ササ刈りや湿地の遷移を進めてしまう樹木の伐採などを何年もかけて丁寧に進めてきた場所です。手入れの成果がみのり,湿地の水分環境が改善され,日当たりが良くなり,ミカワバイケイソウだけでなく,シデコブシやカザグルマ,ハルリンドウ,ヘビノボラズなどの花が良く咲くすばらしい自生地となっています。

これらの自生地は,いずれも明確なビジョンと科学的な判断のもと,普段から丁寧な手入れがなされているおかげで維持がなされている場所です。里山の自然は人との関わりが深いため,そのまま放置しては衰退する一方です。実際に,東海丘陵要素植物群の自生地の多くは衰退しつつある場所ばかりです。12月には東海丘陵要素植物群の自生地の保全活動を体験する回も準備しています。暫く先になりますが,こちらもお楽しみに。

教員:玉木