教員紹介
まつい ときなり

松井 勅尚

教授
専門分野 木育
木工
彫刻
最終学歴 静岡大学大学院教育学研究科造形制作論専修
研究テーマ 木育の普及
木育推進のための玩具及び教材研究
文化と子どもを真ん中においたまちづくりの研究~レッジョ・エミリア・アプローチを通して
工芸と美術の融合の研究~木の制作を通して

経歴

愛知県豊橋市に産まれる。

幼年時代は、(都市部における自然?である)お墓の森をあそび場として活動。秘密基地を3つ所有。沢山の水槽と虫かごを持ち、土を掘り粘土を探し、野焼きして縄文土器をつくる少年であった。
小学生の時に、黒川紀章やレオナルド・ダ・ビンチ、サルバドール・ダリ、中でもアントニオ・ガウディの建築を知り、そのころの憧れの大人との出逢いがその後の方向性を決めたように思う。

大学では、美術教師を目指しつつ、画家を目指したが、恩師と出逢い彫刻を学ぶことに決め、生まれ育った日本の空間を研究テーマとした。
ブランク―シやイサム・ノグチを知る。ルーマニアで「接吻の門」「無限柱」を目の当たりにし、風土からモノが生まれる必然性を体感する。また、ノグチの「あかりのオブジェ」を知り「役に立つ彫刻」と言う考え方が心に焼きついた。

中高一貫教育の学校にて美術教師として勤務。教科書を使わず、6年間の独自の教育を体系的に実践。同時に野外モニュメントのコンペに積極的に出品した。
自身が生きてきた時代や教育全般に疑問を感じ、他の道・伝え方を模索し、アドラー心理学・松下村塾・ヨガ・気功・座禅・合気道等に出会う。

学ぶ時間を確保するため、憧れの高校教師を辞め、非常勤講師をやりながら、山村で自給自足の生活を8年間過ごす。薪の風呂や畑、村山の管理や山の神の番等、人が生きるための自然との基本的な繋がりに気づくことができた。

1994年
木の彫刻家として活動しながら、樹と木のつながりについて何もしらないことに気づき、木についての学びと徒弟制度を体験するために森林たくみ塾にて学ぶ。
同時に。飛騨一円の木の文化について調査するために、日本のものづくりを縄文時代から学び直し、自主論文(未発表)を書く。

1996年
名古屋造形芸術短期大学にて、工芸史・工芸概論の非常勤講師として勤務。
インドのダラム・サラでチベット文化の調査及びダライ・ラマ14世の講話を聴く縁を頂き
聖地を知る。心の課題に向かうものづくりを正面から模索し始める。

2001年
森林文化アカデミー開学と同時に勤務。ものづくり分野の教員として、特に自身が木工修行時に学べなかった造形力等のスキルを担当。同時に使い手への啓蒙である木工をベースとした環境教育プログラムの開発と普及を行う。「ものづくりを通しての社会貢献」の道を模索し、地域と連携して活動を行う。

2002年~
ものづくりを通した環境教育及び、民具の活用の研究について、日本環境教育学会及び日本民具学会にて発表を続けた。飛騨・多治見・岐阜を中心に「和の生活」展、「スローライフのものづくり」展、「アジアな生活和の生活」等を企画し開催。同時に卒業生・教員・学生が、モノを通して発信する「森林文化アカデミーのものづくり」展示会を、東京・金沢・京都・奈良で開催し、同時に会場にてWSも開催。それが縁で、東京の昭和の暮らし博物館では、毎年1回WSを開催(2010年まで)、後半の3年間は「ものづくりセラピー」とし首都圏の自殺の問題に向き合うWSを開催した。

2009年~
岐阜県林政部と連携してアカデミーにて「木育フォーラム」を開催。2010~12年林野庁補助事業として、幼児のための木育プログラムの体系化に取り組み、その成果を日本保育学会にて発表を続けている。同時に出産前夫婦を対象とした「ファーストスプーン」プログラムを開発し県内5地域で約100組に実施し、現在卒業生が引き継いでくれている。

また、針葉樹を利用した、おもちゃ開発に取り組む。
5年ほど関わってきた美濃市子ども創造館事業も、2012年より子どもの仲間づくりも意識した「みの木育寺子屋」としてリニューアルし、学生の実習の場として関わる。

2011年~
ワタリウム企画展:驚くべき学びの世界「レッジョ・エミリア・アプローチ」と出逢う。
2013年.一年後の視察が決まり、グループ「結プロジェクト05」を立ち上げ、国内勉強会を毎月開催し、2014年視察を実施。そこで感銘を受けた「レミーダ」をヒントに、文化と子どもを真ん中に置いたまちづくりを目指し、「MOTTAINAI工房」や「木育カフェ」を試行実施中。

 

専門分野に対する思い

今、木と暮らすライフスタイルへの転換が求められています。木や森が、当に『宝の山である』という思いを実感できる人を育てることが重要です。自然から離れた日本人は、その森の恵みを上手く使えないばかりか、生き物であるはずの「木」を大切にしない…つまり命を大切にできない人になってしまいました。いじめ・自殺問題もその根幹は同じであると思っています。

森や山が目の前にあるだけでは駄目であることを、世界トップ3の森林率を誇る日本が証明しています。その証明を今後覆していくためには、大人の役割が重要だと信じています。

日本の人口のほとんどは都市部に集中しています。その都市部の人々の意識がかわらなければ日本の山は、『宝の持ち腐れ』となってしまうでしょう。

この7年間、幼児とその保護者・保育者に向き合う縁を頂き、「先ずは子どもから始めてみよう」とスタートしたのですが、子育てに関わる女性の大変さを目の当たりにすることとなりました。今後、女性が、子育てをしながらでも社会と関わり続けて行けるような仕組みの構築を模索したいと思っています。それが男性も生きやすい社会に繋がるのではないかと予感するのです。

 木でつくる体験は、人々が日々の暮らし方に改めて向き合い、森と人とモノのつながりを考える良い場となります。少子高齢化の課題も、少ない子どもを「私たちの子ども」として、すべての大人が包み込むまちづくりが、つまり「子どもを真ん中に置いたまちづくり」を目指すことが、その糸口になるのではないでしょうか?

 

役職

  • 林野庁補助事業木育推進委員会委員
  • 一陽会彫刻部委員
  • 岐阜市立図書館協議会委員
  • 岐阜県木育推進協議会顧問

作品

「おにぎりタワラ」 ~地域のモノ・人・コトを生かす(2003)
「宙厨子」 ~心の拠り所を生活空間に (2005)
「ゴヘイ皿」 ~民具研究を今に生かす(2006)
「木象嵌舞珠鏡」 ~伝統技術を今に生かす(2007)
「魂の種子~ゾウトカラスノ涙ノユクエ」 ~工芸と美術の融合について(2012/3/11) 
「魂の種子~足ルヲ知ル」 日本文化の美の提示手法とは(2012)
「魂の種子~鬼ノツトッタ」 ~民話をもとに工芸(用)と美術(美)の融合を(2015)

プロジェクト

木育の普及 ~暮らしを舞台とした木育
木育推進のための教材研究 ~地域の大人の願いを教材へ
文化と子どもを真ん中においたまちづくりの研究 ~レミダをヒントに持続可能な社会を目指してMOTTAINAI工房はじめます