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2018年02月14日(水)

木工を通して何を育むのか?「木工講座の基礎」1日目!

2月6日、愛知県の大口町立北保育園で「ファーストスプーンづくり」の連続講座全3回が始まりました。子育て支援センター勤務の元保育園園長と大口町の各保育園の保育士さんを対象に、スプーンづくり等の実践に必要なスキルを習得してもらうためのこの講座は、同時に、スタッフとなる学生の実習「木工講座の基礎」の現場でもあります。

今回使う手工具と材料

講師の2年生・吉田理恵さんが「食」「道具」「ものづくり」等の観点から本講座について解説され、スプーンづくりに向かう気持ちづくりがなされていきます。展示台に並んださまざまな手作りの木のスプーンと他素材の既製品のスプーン。その端に置かれた哺乳瓶の飲み口は、市販されている一般的なものと違い、扁平になっています。「これは実際に私が使っていたものなのですが、お母さんのちくびの形や大きさが赤ちゃんがくわえにくい形のため、うまくお乳が飲めないという問題を解決するための補助具として考案された形です。赤ちゃんがお母さんのおっぱいから直接飲めるようになるための訓練具なのです」とご自身の体験を交えて説明されました。それは初めて見る少し驚きのものでした。まさに   「道具は身体の延長」

誰がどう使うのか、どういう形がベストか、道具をつくる際に欠かせない前提がわかり易く示され、つくる作業に入るための心構えができていきます。

企画者の吉田理恵さんの講義からスタート!

 

今回、1年生は入学後につくったスプーンを持参し、それらを展示して受講生の方々にお気に入りを選んでもらい、その制作者の学生と二人一組になる、というマッチングをしました。大盛り上がりでペアが決まると、まずは匙面を成形する彫刻刀(丸刀)の使い方の説明です。これから園児たちに指導していく立場の保育士さんたちには、何よりも木工道具を安全に使うことができるよう実習していただかねばなりません。彫刻刀と、外形を成形する小刀の扱いは、学生が実演しながら説明し、その後ペアに分かれてマンツーマン指導の実習です。まったくの初心者ではないもののやはり受講生の方には難しい点がいくつもあり、その難所をどうクリアしていくかの導きが、学生の側にとっての実習となります。自身が 彫り・削り する際にはそれほど意識しなくなっていた点も、だからこそあらためて他者に伝えるにはどうすればよいか、今までにない難しさに直面し、相手の理解につながる説明の仕方を考えあぐねる場面がありました。すんなりと教えられない拙さに、自らもスプーンをつくりたい、教える手立てを考えながらスプーンをつくりたい、と終了後、学生同士で振り返るほど教える難しさを痛感しました。

彫刻刀での匙面の削り方について初めてレクチャーする・・・

小刀で鉛筆削りの練習等をし、次工程は次回までの宿題! 難しい、うまくできない、等の声も漏れながら、全体的にアットホームな雰囲気のなかあっという間に実習終了。彫刻刀は久ぶり、姿勢・身体の使い方をきちんと意識したい、子どもたちに還元できるようしっかり学びたい等、さまざまな感想があがりましたが、皆さん一様に楽しく取り組まれたのがお話ぶり・表情からうかがえました。

切り出し小刀の安全な開け方もレクチャー!

 

 

スプーン匙面のできが、全体のクオリティを決める!

怪我をして「怖い」になってしまうのでなく、怪我をしたとしても「楽しい」になるように/木工は心と身体を育むためのツール/木工を通して日々の身体の使い方を目に見える作業で確認する ……

松井先生に結びのお話をいただき初回はここまで。安全第一に、続く2回の講座も「楽しい」を大切にしていけたらと思います。

クリエーター科1年 柴田 眞規子

実習「木工講座の基礎」・・・基礎としては、いささかハードルの高い「保育士研修」が、今回の現場となりました。しかも、いままで1泊2日の研修としては何度も実践をしてきましたが、初の出前講座です。間のホームワークを如何にうまく学びの時間にできるか?どこまで教えるのか?学びは多くありますね。

「木工講座の基礎」担当 松井勅尚