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2016年06月21日(火)

ドイツ報告-07 ドイツ林業技術機械協会(KWF)主催の機械展-①

ドイツの林業 機械と林業作業の認定機関であるドイツ林業技術機械協会(KWF)が主催する世界最大の「林業機械メッセ」がバイエルンのローディングで開催されましたので参加してきました。

001KWF会長のUteSeelingさん

ここでは大型林業機械以外について報告します。

さて、ロッテンブルク林業大学のHein教授の案内で、KWFの事務局長ウテ・ゼーリング(Ute Seeling)さんが待ち受けてくださいました。

この林業機械メッセは4年に一回(オリンピックの年に)ドイツで開催される世界最大のイベントで、世界の500社が展示販売しており、コングレスホールでのセミナーを始め、エクスカーションも実施され、会場内を一周するだけで7kmに及びます。

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日本からの訪問団のうち、林野庁(本郷森林整備部長)と岐阜県立森林文化アカデミー、岐阜県森林技術開発・普及コンソーシアム(中原丈夫社長)を代表として歓談を刺せて頂きました。

この林業機械メッセは2年前から出店交渉などをし、今回は軍隊の演習場を利用して、一週間前から測量など突貫工事で設定したとのこと。

平日は1万人、休日には1万5千人が訪れるとのことでしたので、昨年岐阜県で実施された全国林業機械展でも一日1万人、二日で2万人集客したことも説明しました。

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ウテ・ゼーリング事務局長さんとお別れしてから、本日は終日、林業機械メッセです。

会場案内図を手に、どこにチェンソー防護服のPSSがあるのか、獣害防護チューブのTUBEXはどこかなどを探しながら移動開始です。とにかく7kmを走破しなくてはなりませんので大変です。

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会場内は多くの歩道がウッドチップが敷かれています。

ウッドチップの厚みは5cm~30cmもあり、現場の森林整備で発生した残材処理として生産されたものもありました。このウッドチップのクッション性の陰で、長距離を歩きましたが疲れませんでした。

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まず最初に紹介するのが「狩猟コーナー」にあった狩猟台です。木製や金属製など台を森林と草原の境界に配置して、少し高い場所から下に向けて発砲するのです。つまり、流れ弾は地面に吸収されるため、林内にいる人を誤射する確率も減少します。

ここには狩猟シミュレーターや衣装などもありました。日本ではないですよね。

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次に、獣害予防のためのプラスティック防護具です。これは様々な形態と色彩のものがありますが、多くは苗木や幼木の主軸を守るために装着します。オーストリア製やドイツ製のものが展示販売されていました。

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そして日本では見られないもの、林業作業員が現場で着替えたり、休憩したりするための牽引式休憩室です。

林業技術者は家を出るときは、普通の通勤者のような服装で現場に出かけ、ここで着替えて、帰宅時にはきれいな服装でスーパーマーケットなどで買い物をして帰る。

日本のように泥汚れの服装で、コンビニエンスストアに立ち寄って白い目で見られることもない。

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次に苗木です。これは苗木を売っているのですが、それがすべてコンテナ苗なのです。苗木はトウヒやダグラスファー、ヨーロッパアカマツ、シカモア、ブナ、イチイ、アカガシワなど様々です。

これを取り扱っている人によっては苗を販売。人によってはコンテナを販売していました。

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苗木はすべてが「空中根切り」されているため、コンテナから簡単に抜き取ることができ、かつ根が土壌をしっかり包んでいるため、一年中植栽可能になります。

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苗木業者によっては、獣害防護用のグッズと植栽用のスコップを合わせて販売しています。

ドイツの森林土壌は日本の森林土壌ほど肥えておらず、保水力も乏しいため、こうしたコンテナ苗が威力を発揮するのです。

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業者によっては、コンテナ苗を持って林内を移動するのではなく、下の写真のような小さなボートを使って林内を引いていくものを提案していました。ちなみに60歳以上のご老人二人が、獣害防護グッズと一緒に紹介していました。

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次には岐阜県森林技術開発・普及コンソーシアムと共同研究する予定の「TUBEX」で、獣害予防のチューブの説明を受けました。

彼らはロッテンブルク林業大学のHein教授らと素材の成分配合なども研究しており、その様子は http://www.forest.ac.jp/academy-archives/%e3%83%89%e3%82%a4%e3%83%84bw%e5%b7%9e%e3%81%a7%e5%ad%a6%e3%81%b6%e6%9e%97%e6%a5%ad-3%e3%80%80%e3%80%80%e7%8d%a3%e5%ae%b3%e9%98%b2%e8%ad%b7tubex%e3%81%a7%e5%ad%a6%e3%81%b6/

を参考にしてください。ちなみに本年、岐阜県では500本の試験を実施ます。

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チューブの内部では苗が順調に育っています。素材が10年もち、最終的に生分解性となり、しかも樹木の成長を促進させる波長の光を透過させる。すごい技術です。

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次に紹介するのは、刈払い用の紐打ち器具です。日本で見たことありますか?

これであれば、インターロッキングやブロックの隙間も除草可能です。

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別のブースでは、もっと本数の多いものも販売されていました。一平面から複数出ているものや、多段階の高さから出ているものなど、利用方法によって様々なようです。

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刈払い機やチェンソーを操作する時に着用する防護服も、本当に多くのブースがあり、とにかく品数が多く、安い。

お店によっては、短パンで若い女性が対応しており、鼻の下が長くなった男性客が吸い寄せられていました。

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森林文化アカデミーでも学生の多くが履いているHAIXも様々なモデルが紹介されていました。しかし日本に輸入すると革製品が輸入関税のため高くなるので、ここで購入して、履いて帰るのが得策と感じます。

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次はチェンソーです。

スチールの大型チェンソーがあったので慶応大学の眞明さんが持ち上げました。このチェンソーはガイドバー先端に器具がついており、周りの金属型枠に入れた薪を一定の長さに切断するものです。

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チェンソーメーカーのスチールのブースでは、直径70cm程度のブナの丸太を輪切りにしていました。

この輪切りは一般参加者が切ったものですが、目立てが良いためどれも美しい切断面をしていました。

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一般的なチェンソーの試運転をするブースでは、丸太にチェンソーが差し込んでありました。

見学者はここで実物の取り回しなどを体験して、自分の気に入ったものを購入するのです。

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そのチェンソーを使った芸術、チェンソーカービングも展示されていました。これは丸太にシギやキジ、イノシシがレリーフ状に彫り込んであります。

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下のものは、キツネやヘラジカがチェンソーカービングされています。相当細かい部分は多分、電気チェンソーを使用しています。

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会場では最近はやりのドローンも披露されていました。多くの機種が本体中国製で20万円~30万円くらい。しかし付属器具が同じくらいかかるそうです。

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このドローンは羽が7カ所についています。これ以外に電動リモコンのヘリコプターもありました。ヘリコプターは40kg浮上可能とあったので質問すると、なんと本体が35kg近くあり、実際に荷を吊れるのは5kg程度とのこと。これは使えないなぁ~と思いつつ、大型機械を見に出かけました。

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さて、今回は大型機械以外の報告ですが、とても報告しきれないほど多くのものが展示販売されていますので、是非みなさんもご自身の目で見てきてください。

最後に、南ゲートの入り口にはバイエルン州の州旗やドイツ国旗とともに、日本の日の丸も掲揚されていて、うれしくなりました。

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次回は大型機械について一部紹介します。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。